2015年1月5日月曜日

「今さら聞けない“甘味”のコト 第2回(全4回)」

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 砂糖は化学的にはショ糖と呼ばれ、ブドウ糖と果糖が結合したものです。ブドウ糖と果糖はそれ以上分解されない単糖類で、これが結合したショ糖は二糖類に分類されます。単糖類が数個結合したものをオリゴ糖、単糖類が多数結合したものを多糖類といいます。一般的に単糖類、オリゴ糖は甘味がありますが多糖類には甘味がありません。














糖類は種類によって、甘味の強さ、甘味を感じる時間の長さ、温度による変化に違いがあります。砂糖は温度にかかわらず甘さがほぼ一定ですが、果糖は低温では甘く、高温では甘さが減少します。フルーツを冷やして食べると甘さが増しておいしくなるのはそのためです。


 日本料理で砂糖は、甘辛く煮込んだお惣菜や照焼き、三杯酢、すき焼、酢飯など、なくてはならない調味料です。西洋料理では砂糖はあまり使われませんが、お菓子やジャム作りなどには欠かせません。

さまざまな料理で砂糖が使われるのは、単に甘味をつけるのだけが目的ではありません。甘味には、他のどの味とも調和し、多様な味を作り出す性質があるためです。醤油と砂糖の甘辛い味付けは、砂糖の甘味が塩味の刺激を適度に緩和します。甘味と酸味は、お互いの味を緩和させ、穏やかで柔らかい甘さと酸味の味になります。

また、日本料理では表だって甘味を感じさせることなく隠し味として砂糖を使うことで、独特の風味と奥行きを作り出しています。

甘味は、味の強弱の許容範囲が広いことも特長として挙げられます。たとえば、おいしいと感じられる塩分濃度は、すまし汁で0.60.8%前後の狭い範囲ですが、砂糖は、隠し味に少量使うものから、310%程度の煮物、さらに大量に使う煮豆や餡などまでおいしく食べられます。
こうした甘味の特長が調味料としての砂糖の利用価値を高めているのです。

 砂糖が多くの料理や加工食品に利用されているのは、味だけではなく、砂糖に溶解性・吸水性・保水性・加熱変化など物理的・化学的なさまざまな特性があり、その特性が料理や食品のおいしさに役立っているためでもあります。

砂糖の保水性は、腐敗を防止するほか、デンプンの老化防止や油脂の酸化防止にも役立っています。保存食品であるジャムには砂糖は欠かせません。それは防腐効果があるためだけでなく、砂糖が果物中のペクチンをゲル化してゼリー状に固めるからです。

照焼きなどの調理では、砂糖が加熱によってアメ状になって照りができ、おいしそうな焼き色も生み出します。砂糖は加熱によってその状態が変化し、約105℃で粘性を帯びたシロップ状になり、130℃ぐらいからアメ状になり、さらに150℃ぐらいになると褐色にカラメル化します。照焼きなどでは、醤油に含まれるアミノ酸とメイラード反応を起こして、茶褐色の焼き色と香りが醸し出されます。


その他にも砂糖には、イーストの醗酵を促進したり、乳化を促進し泡立ちを保持する働き、たんぱく質の凝固抑制作用など、さまざまな性質があります。これら砂糖独特の性質は、お菓子作りをはじめ、さまざまな食品加工に利用され、食生活に潤いをもたらしています。




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