2015年4月21日火曜日

春から学ぼう!“酸味”のコト 第3回(全5回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
 味加減のことを「塩梅(あんばい)」といいますが、これは塩味と酸味(梅の酸味)のこと。古来より、酸味と塩味との調和がおいしさの大切な要素だったのです。




酸味と塩味や甘味はお互いの味を和らげる効果があり、調味の隠し味として酸味(酢)は重要な役割を果たします。

実際には砂糖が多量に使われている料理でも酸味が加わることで食べやすくなり、逆に酸味が強い料理に甘味が加わると酸っぱさが和らぎます。

甘酸っぱい料理は、お互いの味の魅力を引き立てあっているのです。また、多くの清涼飲料水では、甘味とともに酸味がつけられ、清涼感を醸し出しています。









 
 酸性の度合いを表すものにペーハー(pH)があります。7が中性、7より小さければ酸性、大きければアルカリ性です。
 

どんな食品にもそれぞれに固有のpHがありますが、一般に、おいしく感じられるのは弱酸性のpHが4~6の間で、pH8になると味がぼやけ、pH3になると酸味を感じるようになるといわれています。


酢のpHは2.5~3.5、レモンやスダチやカボスなど料理に使われる酸味の強い柑橘類の天然果汁もpHは2.5前後と強い酸性です。これらを料理に少量加えることで、料理全体のpHが下がり、驚くほど味がしまって感じられるのです。







 
ところで、食品にはさまざまな色素が含まれていますが、天然色素の多くは酸やアルカリによって色が変化し、食品の見た目に大きな影響をおよぼします。


梅漬けで使うシソの葉は梅酢で真紅になり、ミョウガやショウガを甘酢に漬けておくと美しいピンク色になります。これはアントシアンという色素が、アルカリだと青色、酸性だと赤色になるためです。


ほとんどすべての野菜に含まれるフラボノイドという色素は、アルカリ性では黄褐色、酸性では白色になります。カリフラワーを茹でるときに酢を入れると白く茹でることができます。



次ページへ(3/5)




2015年4月17日金曜日

春から学ぼう!“酸味”のコト 第2回(全5回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
 酢の主成分には酢酸、そのほかクエン酸やリンゴ酸、コハク酸、乳酸、酒石酸など多くの有機酸が含まれています。レモンや梅干しの主成分はクエン酸で、これらの有機酸類が独特のすっぱさ、酸味の正体です。












酢に最も多く含まれる酢酸は、酢酸菌によりアルコールが酸化されて生じます。酢は酒の歴史とともに誕生したといわれ、酒の原料になるような糖質を含んだ食品であれば、酢の醸造も可能です。英語のヴィネガー(vinegar)は、フランス語のビネーグル(vinaigre)が語源で、vinはワイン、aigreはすっぱい、つまり「お酒がすっぱくなったもの」という意味なのです。



世界各地にさまざまな酒があるように、それぞれの酒に対応して酢が発達しています。日本では米から作った米酢が一般的ですが、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルなどワインの産地ではワインビネガーが、ールの本場イギリスやドイツでは麦芽汁から作るモルトビネガー(麦芽酢)が、アメリカではシードルビネガー(りんご酢)が中心です。 

 
日本では近年になって脚光を浴びるようになったバルサミコ酢は、ワインビネガーと同じくぶどうが原料ですが、濃縮果汁を用い数年の樽熟成によって生まれる独特のフルーティな芳香とまろやかな酸味や甘味が特徴です。













どの酢にも共通する主成分の酢酸は、揮発性がありそれ自体に香りがあります。さらに酢の原料となる食品の酢酸以外の有機酸やアミノ酸の含有量の違いにより、できあがった酢自体の風味は大きく異なってきます。それぞれの風味の特徴を生かして、料理によって使い分けられています。

酢は塩や砂糖と同じ基本調味料の1つですが、これらと大きく異なることは、特徴的な豊かな香りがあることです。



次ページへ(2/5)

2015年4月14日火曜日

「春から学ぼう!“酸味”のコト 第1回(全5回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
 独特の酸味がさわやかな食味を生み出す酢は、その多様な働きから調理の過程でさまざまに活用されていますが、最近ではその健康効果が注目されています。酸味と酸味調味料「酢」が作り出すおいしさの世界を探ってみました.



 伝統的な日本料理の「なます」は魚介類などを刻んで二杯酢などで和えたもの。海外でもすっかりポピュラーな寿司は、魚介類と酢飯との組み合わせです。

長く肉食の習慣のなかった日本では、魚介類が一番のごちそうとして尊ばれました。そのため、魚介類の生臭さを消したり、保存性を増すなどのさまざまな働きを持つ酢が、魚介類の加工や調理の際に経験的に利用されてきたのです。

また、酢は酢味噌や二杯酢、三杯酢、甘酢、土佐酢など、さまざまな合わせ酢にすることよって、淡白な味の日本料理に多様な風味を添えてもいます。








 西洋でも、ヴィネガー(酢)は、スパイスや塩と並んで魚や肉料理に重要な役割を果たしている調味料であり、古くからピクルスなどの保存食に用いられています。また、サラダドレッシングをはじめマヨネーズ、トマトケチャップ、ウスターソースなど、各種ソース類のベースにも使用され、酢の酸味が味にアクセントを与え、保存性を高めてもいます。



洋の東西を問わずに幅広く調理に用いられている酸味調味料の酢ですが、スダチやカボスなどの果実の汁や梅干しの酸味なども多くの料理で利用されています。


次ページへ(1/5)

2015年4月12日日曜日

「きちんと学ぶ 味覚の基本 第3回 (全10回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
Q.1 甘味と苦味。甘味に関して人は鈍く、苦みに関しては非常に敏感に反応します。さて、甘味と苦味を比較して、苦味に関しては何倍以上低い濃度で感じるでしょうか。   



①5倍
②10倍 
③100倍 
④1000倍




正解④

解説  
甘味より苦味は1000倍以上低い濃度で感じるようになっています。それはなぜでしょうか?苦味は毒物が持っている場合が多いと言われています。そのため体が自己防衛のためにわずかな濃度で苦味を感じ、危険信号をだしているのです。






Q.2 コーヒーやビール。もともと「苦味」は人が好んで摂取する味ではありません。けれども、コーヒーやビールは好んで飲まれます。これはコーヒーやビールに含まれる成分が、人に気持ちの良さを与え、そのことを学習するからと言われています。またある時に、コーヒーやビールを飲むと苦みがあまり感じられないと言われています。それはどんな時でしょうか?



①忙しいとき 
②悲しいとき 
③疲れているとき 
④楽しいとき




正解③

解説  
同じ苦さの物を作業の前と後に食べてもらうと、後に食べた方が同じ苦味なのに、苦く感じないというデータがでています。これはストレスをかけると唾液の中にリン脂質という物質が増えることによります。リン脂質は味をマイルドに感じさせる働きがあるのです。





Q.3 五つの基本味は塩味、酸味、苦味、甘味、うま味と言われています。「酸味」は、すぐに口に広がり、すぐに消えてします。それでは、塩味、苦味、甘味、うま味の中で一番舌に残ると言われている味はどれでしょうか。次の四つの中から選びなさい。


①塩味 
②苦味 
③甘味 
④うま味




正解④

解説  
どの味が残るかという実験は口に含んだとき、そしてそれを吐き出した時、その二つのプロセスで試験されます。その結果はうま味成分。メカニズムにはまだ謎が残りますが、舌の付け根にある受容体にうまみ成分が結合するとなかなか流れにくいことが原因の一つではないかと考えられています。





2015年2月1日日曜日

「きちんと学ぶ 味覚の基本 第2回 (全10回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
Q.1 食事をするとき、砂糖の量が多少多くても少なくても、人はあまり敏感ではありませんが、食塩の量に関して、人はかなり敏感です。これは体に対しての砂糖と食塩のある特徴のためと言われています。それはどのような特徴でしょうか。


①砂糖は吸収しやすいが、塩分は吸収しにくいため。
②砂糖は多く摂取しても構わないが、塩分は多く摂取すると体に害があるため。
③砂糖は体に蓄えることができるが、塩分は体に蓄えることができないため。
④砂糖は体で生み出すことができるが、塩分を生み出す事はできないため。






正解③

解説 
砂糖はある程度体内に蓄積ができる物質です。けれども塩分は蓄積することができないためある一定量を定期的に摂らなくてはいけません。その一定量を味覚によってはかるため、体が必要とする塩分濃度0.9%以下だと、味が薄く感じ、0.9%以上だと塩辛く感じるのです。




Q.2 非常に酸っぱい物を食べるとき、人は口をすぼめてとがらせます。この反応の理由はなんでしょうか?

①体が酸の刺激に、瞬間的に拒否反応をしめすから。
②体が唾液を分泌させ、酸を中和しようとするから。
③体が酸に反応をし、神経が興奮するから。
④体が酸の刺激に、驚き、筋肉を硬直させるから。




正解②

解説 
酸っぱい物を食べた時には、顔の筋肉が収縮をし、独特の表情となります。この動きは口の中に唾液だまりをつくり、その事によって酸を中和させる働きも促します。




Q.3 昔の夏みかんはとても酸っぱい時代がありました。この夏みかんの酸っぱさを中和させるためにある物をかけて食べていたのですが、このある物はなんでしょうか。 

   

①重曹
②砂糖
③塩
④醤油





























正解①

解説 
重曹に含まれる重炭酸イオンが、酸味のもとである水素イオンを中和するから。砂糖をかける場合もありますが、これは中和させて酸っぱさを変化させている訳ではありません。甘みを感じ、酸味が消えたように錯覚しているだけと言えます。





2015年1月26日月曜日

「きちんと学ぶ 味覚の基本 第1回 (全10回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
Q.1  すいかやおしるこなど、甘いものにひとつまみの塩をふりかけたり、入れたりすると、甘みが増すということを何と呼ぶでしょうか。

①対照
②刺激 
③対比 
④逆転






正解:③対比

解説
ひとつまみの塩を甘いものにいれることで、甘みが増強することを「対比」と呼びます。質の異なる刺激を同時に与えた時に一方の質の強度が強められる現象です。







Q.2 食事が終わった後に、デザートのような甘いものだったら食べられることを“別腹”と呼びます。この“別腹”の原因となる現象はなんと呼ぶでしょうか。

①変異的感覚満腹
②別味覚的空腹感覚
③感覚特異的満腹
④中枢麻痺的感覚





正解③感覚特異的満腹

解説
食事の味付けの主たるものは、うま味、酸味、塩味などとなります。ある一定量食事をすることで、この味そのものに関して、満足し、順応してきます。つまり味覚的にある種の刺激、魅力のようなものを感じなくなります。このことを“感覚特異的満腹”とよびます。この味に対する順応“感覚特異的満腹”と全くことなる甘い物に関しては満腹した状態ではなくなるため、甘い物は美味しく別腹として食べることができるのです。



Q.3 砂糖と人工甘味料、どちらも甘く感じるのにはある分子中の構造をもっていることが理由の一つと考えられています。その分子中の共通構造の組み合わせで正しい物を選びなさい。


①水素供与基AH 
②水素供与基AHと水素受容基
③水素供与基AHまたは水素受容基B 
④水素受容基B






正解②水素供与基AHと水素受容基B

解説 
砂糖、果糖、人口甘味料であるサッカリン、アミノ酸のアラニン。分子構造は全て違う甘味料ですが、同じように甘いのは、水素供与基AHと水素受容基Bを分子中に持っているからと言われています。ただ共通構造を持たないのにも関わらず、甘みをもつ物質も存在しており、全てがこの共通構造によるものという説明では足りない現状もあります。




2015年1月22日木曜日

「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第4回(全4回)」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
 世界には食物に自然に含まれる以外の食塩を全く摂取していない人々がいます。これらの人々の間には高血圧の人がほとんど見られず、加齢とともに血圧が上昇することもないことが明らかになっています。




























世界各地で食塩摂取量と血圧を測定したところ、食塩摂取量が多い地域ほど平均血圧が高いという正の相関関係が見られます。

私たちの身体は、生理的には1日に1g程度の食塩があれば生きていけるといわれています。

先進国の多くでは実際の摂取量はその10倍以上。塩分を取りすぎると高血圧になるおそれがあると、日本はもちろん世界各国で1日の塩分摂取の目標値を設定し減塩を指導しています。


しかし、すべての人が食塩をとると血圧が上がり、減塩すると血圧が下がるというわけではありません。食塩の摂取量によって血圧が変動する、食塩感受性のある人と食塩感受性のない人がいることが分かっています。

ただし、食塩非感受性だからといって食塩を多くとっていいわけではありません。食塩は喉頭がんや胃がんに関係あると考えられており、がん予防のためにも食塩の摂取制限が勧告されています。







ストレスは食塩に対する欲求を高めるため、現代社会のストレスの多さも塩分摂取増の要因と考えられます。極端な減塩はそれ自体がストレスになってしまいます。

新鮮な旬の食材を使う、酸味やだしをきかせる、味付けにメリハリのある減塩を行うなど、おいしく減塩を続けることが大切です。


人よって適塩は異なります。QOLQuality of Life /生活の質)を高めるためにも、その人にあった塩の取り方で、豊かな食生活を送りたいものです。
                                      (4/4)